2025年5月12日、ワシントン発 — アライアンス・オブ・デモクラシーズ財団の最新調査によると、米国の国際的な評価が中国を下回り、初めて中国の評価が米国を上回る結果となりました。調査は、100カ国以上の11万1,000人以上を対象に実施され、米国の評価は前年の+22%から-5%に急落し、肯定的な評価をする国は45%にとどまりました。これに対し、中国の評価は+14%に改善され、否定的な評価を受ける割合は減少しています。
この評価低下の要因として、米国の外交政策やリーダーシップに対する国際的な信頼の喪失が挙げられています。特に、前大統領ドナルド・トランプ氏の政策が影響を与えたと見られ、貿易戦争や一方的な国際同盟へのアプローチが国際社会での評価に影を落としていると分析されています。トランプ政権下での「アメリカ・ファースト」政策は、米国が長年にわたり築いてきた多国間主義的な外交戦略からの転換を象徴しており、これが国際的に混乱を招いた一因と考えられています。
調査によれば、米国に対する評価が低下した主な原因は、国際問題への対応における不安定さや、一部の国々での政治的分断が指摘されています。特に、ウクライナ・ロシア戦争や中東地域でのアメリカの関与に対する批判的な意見が増え、国際社会での米国のリーダーシップが再評価されています。元NATO事務総長のアンダース・フォグ・ラスムセン氏は、「米国の外交は、戦略的な一貫性を欠いている」と述べ、米国の世界的影響力の低下を警告しています。
これに対して、中国の評価が改善した背景には、経済的な影響力の拡大や、特にアジア・アフリカ地域におけるインフラ支援が大きな要因として挙げられます。中国は、経済的支援や技術提供を通じて発展途上国との関係を強化しており、これがポジティブな印象を与える結果となっています。特に「一帯一路」構想の一環として、中国は多くの国々に対して支援を行い、その影響力を拡大しています。
さらに、トランプ氏の国際的なイメージは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領や中国の習近平国家主席よりも低く、82カ国で否定的に評価されています。特に、トランプ氏が進めた経済制裁や軍事的圧力、そして世界の複数の地域での介入政策に対して批判的な声が強まっています。
この調査結果は、5月13日から14日にデンマーク・コペンハーゲンで開催される民主主義サミットを前に発表され、米国の国際的な立場に対する懸念が高まっています。このサミットでは、民主主義を守るための国際的な協力がテーマとなる予定であり、米国が再びリーダーシップを発揮できるのか、注目が集まっています。
また、米国と中国の間で影響力争いが続く中、各国の外交政策にも影響を与える可能性が高いとされています。特に、米国の立場がこれ以上弱まれば、国際関係の構図が大きく変わることも予想され、世界各国の政治的動向がますます注目されています。